# rippledサーバが起動しない このページでは、[`rippled`サーバ](/ja/docs/concepts/networks-and-servers)が起動しない際に考えられる原因とその修正方法を説明します。 以下の手順では、サポートされているプラットフォームに[`rippled`がインストール](/ja/docs/infrastructure/installation)されていることを前提としています。 ## ファイル記述子の制限 一部のLinuxバリアントでは、`rippled`を実行しようとすると以下のようなエラーメッセージが出力されることがあります。 ```text WARNING: There are only 1024 file descriptors (soft limit) available, which limit the number of simultaneous connections. ``` これは、セキュリティの点からシステムで1つのプロセスが開くことができるファイルの数に制限があるが、その制限が`rippled`にとっては少なすぎる場合に発生します。この問題を修正するには、**ルートアクセス権限が必要です**。以下の手順に従い、`rippled`が開くことができるファイルの数を増やします。 1. 次の行を`/etc/security/limits.conf`ファイルの終わりに追加します。 ``` * soft nofile 65536 * hard nofile 65536 ``` 2. [開くことができるファイルの数のハード制限](https://ss64.com/bash/ulimit.html)が現在`65536`であることを確認します。 ``` ulimit -Hn ``` このコマンドの出力は`65536`になるはずです。 3. `rippled`をもう一度起動します。 ``` systemctl start rippled ``` 4. それでも`rippled`が起動しない場合は、`/etc/sysctl.conf`を開き、以下のカーネルレベル設定を付加します。 ``` fs.file-max = 65536 ``` ## /etc/opt/ripple/rippled.cfgを開くことができない `rippled`が起動時にクラッシュし、以下のようなエラーが出力される場合は、`rippled`が構成ファイルを読み取ることができません。 ```text Loading: "/etc/opt/ripple/rippled.cfg" Failed to open '"/etc/opt/ripple/rippled.cfg"'. Terminating thread rippled: main: unhandled St13runtime_error 'Can not create "/var/opt/ripple"' Aborted (core dumped) ``` 考えられる解決策: - 構成ファイル(デフォルトのロケーションは`/etc/opt/ripple/rippled.cfg`)が存在しており、`rippled`プロセスを実行するユーザ(通常は`rippled`)にこのファイルの読み取り権限があることを確認します。 - `rippled`ユーザが読み取ることができる構成ファイルを`$HOME/.config/ripple/rippled.cfg`に作成します(`$HOME`は`rippled`ユーザのホームディレクトリを指しています)。 `rippled`リポジトリには、パケージのインストール時にデフォルトの構成として提供される[`rippled.cfg`サンプルファイル](https://github.com/XRPLF/rippled/blob/master/cfg/rippled-example.cfg)が含まれています。このファイルがない場合は、上記のリンク先からコピーできます。 - `--conf`[コマンドラインオプション](/ja/docs/infrastructure/commandline-usage)を使用して、使用する構成ファイルのパスを指定します。 ## バリデータファイルを開くことができない `rippled`が起動時にクラッシュし、以下のようなエラーが出力される場合は、`rippled`はプライマリ構成ファイルを読み取ることはできても、この構成ファイルに指定されている別のバリデータ構成ファイル(通常は`validators.txt`)を読み取ることができません。 ```text Loading: "/home/rippled/.config/ripple/rippled.cfg" Terminating thread rippled: main: unhandled St13runtime_error 'The file specified in [validators_file] does not exist: /home/rippled/.config/ripple/validators.txt' Aborted (core dumped) ``` 考えられる解決策: - `validators.txt`ファイルが存在し、`rippled`ユーザにこのファイルの読み取り権限があることを確認します。 `rippled`リポジトリには、パケージのインストール時にデフォルトの構成として提供される[`validators.txt`サンプルファイル](https://github.com/XRPLF/rippled/blob/master/cfg/validators-example.txt)が含まれています。このファイルがない場合は、上記のリンク先からコピーできます。 - `rippled.cfg`ファイルを編集し、`[validators_file]`設定を変更して、`validators.txt`ファイル(またはこれに相当するファイル)の正しいパスを指定します。ファイル名の前後に余分な空白があるかどうかを確認します。 - `rippled.cfg`ファイルを編集し、`[validators_file]`設定を削除します。バリデータ設定を`rippled.cfg`ファイルに直接追加します。例: ``` [validator_list_sites] https://vl.ripple.com [validator_list_keys] ED2677ABFFD1B33AC6FBC3062B71F1E8397C1505E1C42C64D11AD1B28FF73F4734 ``` ## データベースパスを作成できない `rippled`が起動時にクラッシュし、以下のようなエラーが出力される場合は、その構成ファイルの`[database_path]`への書き込み権限がサーバにありません。 ```text Loading: "/home/rippled/.config/ripple/rippled.cfg" Terminating thread rippled: main: unhandled St13runtime_error 'Can not create "/var/lib/rippled/db"' Aborted (core dumped) ``` 構成ファイルのパス(`/home/rippled/.config/ripple/rippled.cfg`)とデータベースのパス(`/var/lib/rippled/db`)は、システムによっては異なる可能性があります。 考えられる解決策: - エラーメッセージに出力されているデータベースパスへの書き込み権限を持つ別のユーザとして`rippled`を実行します。 - `rippled.cfg`ファイルを編集し、`[database_path]`設定を変更して、`rippled`ユーザに書き込み権限があるパスを使用します。 - `rippled`ユーザに対し、設定されているデータベースパスへの書き込み権限を付与します。 ## 状態DBエラー `rippled`サーバの状態データベースが破損している場合に、以下のエラーが発生する可能性があります。これは、予期しないシャットダウンが行われた場合、またはデータベースのタイプをRocksDBからNuDBに変更したが構成ファイルの`path`設定と`[database_path]`設定を変更しなかった場合に発生する可能性があります。 ```text 2018-Aug-21 23:06:38.675117810 SHAMapStore:ERR state db error: writableDbExists false archiveDbExists false writableDb '/var/lib/rippled/db/rocksdb/rippledb.11a9' archiveDb '/var/lib/rippled/db/rocksdb/rippledb.2d73' To resume operation, make backups of and remove the files matching /var/lib/rippled/db/state* and contents of the directory /var/lib/rippled/db/rocksdb Terminating thread rippled: main: unhandled St13runtime_error 'state db error' ``` この問題を修正する最も簡単な方法は、データベース全体を削除することです。あるいは、データベースを任意の場所にバックアップすることもできます。例: ```sh mv /var/lib/rippled/db /var/lib/rippled/db-bak ``` あるいは、データベースが必要ではないことが判明している場合は以下のようにします。 ```sh rm -r /var/lib/rippled/db ``` 一般に`rippled`データベースは安全に削除できます。これは、個々のサーバはXRP Ledgerネットワーク内の他のサーバからレジャー履歴を再ダウンロードできるためです。 あるいは、構成ファイルでデータベースのパスを変更できます。例: ``` [node_db] type=NuDB path=/var/lib/rippled/custom_nudb_path [database_path] /var/lib/rippled/custom_sqlite_db_path ``` ## オンライン削除の値がレジャー履歴の値よりも少ない 以下のようなエラーメッセージが出力される場合、`rippled.cfg`ファイルの`[ledger_history]`と`online_delete`に矛盾する値が指定されています。 ```text Terminating thread rippled: main: unhandled St13runtime_error 'online_delete must not be less than ledger_history (currently 3000) ``` `[ledger_history]`設定は、サーバが埋め戻す履歴のレジャー数を表します。`online_delete`フィールド(`[node_db]`スタンザ)は、古い履歴を削除するときに維持する履歴のレジャー数を示します。サーバがダウンロードしようとしている履歴レジャーを削除しないようにするため、`online_delete`の値は`[ledger_history]`以上でなければなりません。 この問題を修正するには、`rippled.cfg`ファイルを編集し、`[ledger_history]`オプションまたは`online_delete`オプションのいずれかを変更または削除します。(`[ledger_history]`を省略すると、デフォルトの256レジャーバージョンに設定されるので、`online_delete`を残して指定する場合は256よりも大きな値にする必要があります。`online_delete`を省略すると、古いレジャーバージョンの自動削除が無効になります。) ## node_sizeの値が正しくない 以下のようなエラーが出力される場合は、`rippled.cfg`ファイルの`node_size`設定の値が誤っています。 ```text Terminating thread rippled: main: unhandled N5beast14BadLexicalCastE 'std::bad_cast' ``` `node_size`フィールドの有効なパラメーターは`tiny`、`small`、`medium`、`large`、`huge`です。詳細は、[ノードサイズ](/ja/docs/infrastructure/installation/capacity-planning#%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%BA)をご覧ください。 ## 関連項目 - **コンセプト:** - [`rippled`サーバ](/ja/docs/concepts/networks-and-servers) - [技術に関するよくある質問](/about/faq) - **チュートリアル:** - [ログメッセージについて](/ja/docs/infrastructure/troubleshooting/understanding-log-messages) - [容量の計画](/ja/docs/infrastructure/installation/capacity-planning) - **リファレンス:** - [rippled APIリファレンス](/ja/docs/references/http-websocket-apis) - [`rippled`コマンドラインの使用](/ja/docs/infrastructure/commandline-usage) - [server_infoメソッド](/ja/docs/references/http-websocket-apis/public-api-methods/server-info-methods/server_info)