最終更新:
編集

Payment Channelの使用

Payment Channelは、少額の単位に分割可能な「非同期」のXRPペイメントを送信し、後日決済する高度な機能です。このチュートリアルでは、全体的なPayment Channelの使用方法を、ローカルrippledサーバのJSON-RPC APIを使用する例を使って説明します。

このチュートリアルを進めるにあたって資金供給されているXRP Ledgerアカウントを所有するユーザが2名いれば理想的です。ただし、2つのXRP Ledgerアドレスを管理する1名のユーザとしてこのチュートリアルを進めることもできます。

サンプルの値

このチュートリアルでは、例として以下のアドレスを使用します。

支払人のアドレスrN7n7otQDd6FczFgLdSqtcsAUxDkw6fzRH
Channelに使用する公開鍵(XRP Ledgerのbase58エンコード文字列フォーマット)aB44YfzW24VDEJQ2UuLPV2PvqcPCSoLnL7y5M1EzhdW4LnK5xMS3
Channelに使用する公開鍵(16進数)023693F15967AE357D0327974AD46FE3C127113B1110D6044FD41E723689F81CC6
受取人のアドレスrf1BiGeXwwQoi8Z2ueFYTEXSwuJYfV2Jpn

ヒント: この例では、Channelの公開鍵は支払人のマスターキーペアの公開鍵です。これは完全に安全であり有効です。また、支払人のみが異なるキーペアの公開鍵と秘密鍵を把握している場合に限り、そのキーペアを使用することも完全に安全であり有効です。

また、トランザクションの送信先rippledサーバも必要です。このチュートリアルの例では、rippledサーバがテストマシン(localhost)で稼働しており、このテストマシンはポート5005で非暗号化JSON-RPC APIエンドポイントに接続しています。

実際のXRPを送金せずにテストを実施するには、Test Net XRPを保有するXRP Ledger Testnetのアドレスを使用できます。XRP Ledger Test Netを使用する場合、http://localhost:5005/ではなくhttps://api.altnet.rippletest.net:51234に接続することで、Test NetサーバのJSON-RPC APIを使用できます。

Payment Channelに使用できるXRPの額に制限はありません。このチュートリアルで使用されているサンプルの値では、Payment Channelで100 XRP(100000000 drop)が少なくとも1日間は確保されます。

フローチャート

次の図は、Payment Channelのライフサイクルの概要を示します。

Payment Channelフローチャート

この図のステップの番号は、このチュートリアルのステップの番号に対応しています。

  1. 支払人: Channelの作成
  2. 受取人: Channelの確認
  3. 支払人: クレームへの署名
  4. 支払人: 受取人へのクレームの送信
  5. 受取人: クレームの検証
  6. 受取人: 商品またはサービスの提供
  7. 必要に応じてステップ3~6を繰り返す
  8. 受取人: クレームの清算
  9. 支払人: Channel閉鎖の要求
  10. 支払人(またはその他の担当者): 有効期限切れChannelの閉鎖

1. 支払人が特定の受取人へのPayment Channelを作成します。

これはPaymentChannelCreateトランザクションです。このプロセスでは、支払人がChannelの特定の特性(有効期限、決済遅延など、Channelのクレームに関する保証に影響する特性)を設定します。支払人は、Channelに対するクレームの検証に使用する公開鍵も設定します。

ヒント: 「決済遅延」の設定だけが決済を遅延するわけでわありません。レジャーバージョンが閉鎖すると即時に決済が遅延されます(3~5秒)。「決済遅延」とは、Channel閉鎖の強制的な遅延です。これにより、受取人が決済を完了できるようになります。

以下の例は、JSON-RPC APIを使用してローカルrippledサーバへ送信することでPayment Channelを作成する方法を示しています。Payment Channelは、決済を1日遅らせてサンプルの支払人(rN7n7...)からサンプルの受取人(rf1Bi...)に100 XRPを割り当てます。公開鍵はサンプルの支払人のマスター公開鍵(16進数)です。

注記: Payment Channelは1つのオブジェクトとして支払人の所有者準備金に反映されます。所有者は少なくとも、Payment Channelに割り当てられたXRPを差引き後に、準備金を維持するのに十分なXRPを保有している必要があります。

リクエスト:

POST http://localhost:5005/
Content-Type: application/json

{
    "method": "submit",
    "params": [{
        "secret": "s████████████████████████████",
        "tx_json": {
            "Account": "rN7n7otQDd6FczFgLdSqtcsAUxDkw6fzRH",
            "TransactionType": "PaymentChannelCreate",
            "Amount": "100000000",
            "Destination": "rf1BiGeXwwQoi8Z2ueFYTEXSwuJYfV2Jpn",
            "SettleDelay": 86400,
            "PublicKey": "023693F15967AE357D0327974AD46FE3C127113B1110D6044FD41E723689F81CC6",
            "DestinationTag": 20170428
        },
        "fee_mult_max": 1000
    }]
}

レスポンス:

200 OK

{
    "result": {
        "engine_result": "tesSUCCESS",
        "engine_result_code": 0,
        "engine_result_message": "The transaction was applied.Only final in a validated ledger.",
        ...
        "tx_json": {
            ...
            "TransactionType": "PaymentChannelCreate",
            "hash": "3F93C482C0BC2A1387D9E67DF60BECBB76CC2160AE98522C77AF0074D548F67D"
        }
    }
}

submitリクエストに対する直接のレスポンスには、トランザクションを識別するhash値を含む 暫定的な 結果が含まれています。支払人は、検証済みレジャーでトランザクションの 最終 結果を確認し、メタデータからChannel IDを取得する必要があります。この処理はtxコマンドを使用して実行できます。

リクエスト:

POST http://localhost:5005/
Content-Type: application/json

{
    "method": "tx",
    "params": [{
        "transaction": "3F93C482C0BC2A1387D9E67DF60BECBB76CC2160AE98522C77AF0074D548F67D"
    }]
}

レスポンス:

200 OK

{
    "result": {
        "Account": "rN7n7otQDd6FczFgLdSqtcsAUxDkw6fzRH",
        "Amount": "100000000",
        "Destination": "rf1BiGeXwwQoi8Z2ueFYTEXSwuJYfV2Jpn",
        ...
        "TransactionType": "PaymentChannelCreate",
        ...
        "hash": "3F93C482C0BC2A1387D9E67DF60BECBB76CC2160AE98522C77AF0074D548F67D",
        "inLedger": 29380080,
        "ledger_index": 29380080,
        "meta": {
            "AffectedNodes": [
                ...
                {
                    "CreatedNode": {
                        "LedgerEntryType": "PayChannel",
                        "LedgerIndex": "5DB01B7FFED6B67E6B0414DED11E051D2EE2B7619CE0EAA6286D67A3A4D5BDB3",
                        "NewFields": {
                            "Account": "rN7n7otQDd6FczFgLdSqtcsAUxDkw6fzRH",
                            "Amount": "100000000",
                            "Destination": "rf1BiGeXwwQoi8Z2ueFYTEXSwuJYfV2Jpn",
                            "DestinationTag": 20170428,
                            "PublicKey": "023693F15967AE357D0327974AD46FE3C127113B1110D6044FD41E723689F81CC6",
                            "SettleDelay": 86400
                        }
                    }
                },
                ...
            ],
            "TransactionIndex": 16,
            "TransactionResult": "tesSUCCESS"
        },
        "status": "success",
        "validated": true
    }
}

支払人はJSON-RPCからのレスポンスで以下を確認する必要があります。

  • トランザクションのmetaフィールドで、TransactionResulttesSUCCESSであることを確認します。
  • データが検証済みレジャーのデータであることを示す"validated":trueがレスポンスに含まれていることを確認します。(結果tesSUCCESSは、検証済みレジャーバージョンに記録されている場合にのみ最終的な結果です。)
  • トランザクションのmetaフィールドのAffectedNodes配列で、LedgerEntryTypePayChannelであるCreatedNodeオブジェクトを検索します。CreatedNodeオブジェクトのLedgerIndexフィールドはChannel IDを示します。(上記の例では、これは「5DB0...」で始まる16進文字列です。)Channel IDは、後でクレームに署名する際に必要です。 PayChannelレジャーオブジェクトタイプの詳細については、PayChannelレジャーオブジェクトをご覧ください。

2. 受取人がPayment Channelの特性を確認します。

Payment Channelを見つけるには、以下の例(JSON-RPC APIを使用)に示すようにChannelの支払人を指定したaccount_channelsメソッドを使用します。

リクエスト:

POST http://localhost:5005/
Content-Type: application/json

{
    "method": "account_channels",
    "params": [{
        "account": "rN7n7otQDd6FczFgLdSqtcsAUxDkw6fzRH",
        "destination_account": "rf1BiGeXwwQoi8Z2ueFYTEXSwuJYfV2Jpn",
        "ledger_index": "validated"
    }]
}

レスポンス:

200 OK

{
    "result": {
        "account": "rN7n7otQDd6FczFgLdSqtcsAUxDkw6fzRH",
        "channels": [{
            "account": "rN7n7otQDd6FczFgLdSqtcsAUxDkw6fzRH",
            "amount": "100000000",
            "balance": "0",
            "channel_id": "5DB01B7FFED6B67E6B0414DED11E051D2EE2B7619CE0EAA6286D67A3A4D5BDB3",
            "destination_account": "rf1BiGeXwwQoi8Z2ueFYTEXSwuJYfV2Jpn",
            "destination_tag": 20170428,
            "public_key": "aB44YfzW24VDEJQ2UuLPV2PvqcPCSoLnL7y5M1EzhdW4LnK5xMS3",
            "public_key_hex": "023693F15967AE357D0327974AD46FE3C127113B1110D6044FD41E723689F81CC6",
            "settle_delay": 86400
        }],
        "status": "success"
    }
}

受取人は、以下のすべての点を含め、Payment Channelのパラメーターが特定のユースケースに適していることを確認します。

  • destination_accountフィールドに受取人の正しいアドレスが指定されていることを確認します。
  • settle_delayフィールドに、受取人が未処理のクレームを清算するのに十分な決済遅延期間が秒単位で指定されていることを確認します。
  • cancel_after(変更できない有効期限)フィールドとexpiration(変更できる有効期限)フィールドが含まれている場合は、これらのフィールドの値が早過ぎないことを確認します。受取人はこれらの時刻をメモして、それらの時刻より前にクレームを清算できるようにします。
  • public_keyフィールドとchannel_idフィールドをメモします。これらのフィールドは、後でクレームを検証、清算する際に必要です。
  • (省略可)destination_tagフィールドが存在しており、必要な宛先タグが指定されていることを確認します。

2名の当事者間に複数のChannelが存在している可能性があるため、受取人が正しいChannelのクオリティを確認することが重要です。混乱する場合は、使用するChannelのChannel ID(channel_id)を支払人が明確にする必要があります。

3. 支払人がChannelのXRPに対して1つ以上の署名付き クレーム を作成します。

これらのクレームの額は、支払人が購入する具体的な商品またはサービスに応じて異なります。

各クレームの額は累計額でなければなりません。つまり、2つのアイテムをそれぞれ10 XRPで購入する場合、1番目のクレームの額は10 XRPで、2番目のクレームの額は20 XRPである必要があります。クレームは、Channelに割り当てられているXRPの合計額を超えることはありません。(PaymentChannelFundトランザクションでは、Channelに割り当てられるXRPの合計額を増加できます。)

channel_authorizeメソッドを使用してクレームを作成できます。以下の例では、Channelから1 XRPが承認されます。

リクエスト:

POST http://localhost:5005/
Content-Type: application/json

{
    "method": "channel_authorize",
    "params": [{
        "channel_id": "5DB01B7FFED6B67E6B0414DED11E051D2EE2B7619CE0EAA6286D67A3A4D5BDB3",
        "secret": "s████████████████████████████",
        "amount": "1000000"
    }]
}

レスポンス:

{
    "result": {
        "signature": "304402204EF0AFB78AC23ED1C472E74F4299C0C21F1B21D07EFC0A3838A420F76D783A400220154FB11B6F54320666E4C36CA7F686C16A3A0456800BBC43746F34AF50290064",
        "status": "success"
    }
}

4. 支払人が、商品またはサービスに対する支払いとしてクレームを受取人に送信します。

この通信は、支払人と受取人が合意できる通信システムで「レジャー外」で行われます。これには安全な通信を使用する必要がありますが、必須ではありません。Channelの支払人または受取人がそのChannelに対するクレームを清算できます。

クレームで以下の情報が伝達される限り、クレームの厳密なフォーマットは重要ではありません。

フィールド
Channel ID5DB01B7FFED6B67E6B0414DED11E051D2EE2B7619CE0EAA6286D67A3A4D5BDB3
XRPの額(drop単位)1000000
署名304402204EF0AFB78AC23ED1C472E74F4299C0C21F1B21D07EFC0A3838A420F76D783A
400220154FB11B6F54320666E4C36CA7F686C16A3A0456800BBC43746F34AF50290064 (注記: この長い文字列は1行に収まるように改行されています)

受取人は、Channelに関連付けられている公開鍵も把握する必要があります。この鍵は、Channelの存続期間中変更されることはありません。

5. 受取人がクレームを検証します。

channel_verifyメソッドを使用してクレームを検証できます。受取人は、クレームの額が提供した商品およびサービスの合計価格以上であることを確認する必要があります。(金額は累計額であるため、これまでに購入されたすべての商品およびサービスの合計価格です。)

JSON-RPC APIでchannel_verifyを使用する例:

リクエスト:

POST http://localhost:5005/
Content-Type: application/json

{
    "method": "channel_verify",
    "params": [{
        "channel_id": "5DB01B7FFED6B67E6B0414DED11E051D2EE2B7619CE0EAA6286D67A3A4D5BDB3",
        "signature": "304402204EF0AFB78AC23ED1C472E74F4299C0C21F1B21D07EFC0A3838A420F76D783A400220154FB11B6F54320666E4C36CA7F686C16A3A0456800BBC43746F34AF50290064",
        "public_key": "aB44YfzW24VDEJQ2UuLPV2PvqcPCSoLnL7y5M1EzhdW4LnK5xMS3",
        "amount": "1000000"
    }]
}

レスポンス:

200 OK

{
    "result": {
        "signature_verified":true,
        "status":"success"
    }
}

レスポンスに"signature_verified": trueが含まれている場合、クレームの署名は真正です。受取人は、クレームを換金できる十分なXRPがChannelにあること確認する必要があります。このためには、受取人はaccount_channelsメソッドを使用して、Payment Channelの最新の検証済み状態を確認します。

リクエスト:

POST http://localhost:5005/
Content-Type: application/json

{
    "method": "account_channels",
    "params": [{
        "account": "rN7n7otQDd6FczFgLdSqtcsAUxDkw6fzRH",
        "destination_account": "rf1BiGeXwwQoi8Z2ueFYTEXSwuJYfV2Jpn",
        "ledger_index": "validated"
    }]
}

レスポンス:

200 OK

{
    "result": {
        "account": "rN7n7otQDd6FczFgLdSqtcsAUxDkw6fzRH",
        "channels": [{
            "account": "rN7n7otQDd6FczFgLdSqtcsAUxDkw6fzRH",
            "amount": "100000000",
            "balance": "0",
            "channel_id": "5DB01B7FFED6B67E6B0414DED11E051D2EE2B7619CE0EAA6286D67A3A4D5BDB3",
            "destination_account": "rf1BiGeXwwQoi8Z2ueFYTEXSwuJYfV2Jpn",
            "destination_tag": 20170428,
            "public_key": "aB44YfzW24VDEJQ2UuLPV2PvqcPCSoLnL7y5M1EzhdW4LnK5xMS3",
            "public_key_hex": "023693F15967AE357D0327974AD46FE3C127113B1110D6044FD41E723689F81CC6",
            "settle_delay": 86400
        }],
        "status": "success"
    }
}

受取人は以下の点を確認する必要があります:

  • channel_idがクレームのChannel IDと一致するchannels配列のオブジェクトを見つけます。同一の当事者間であっても複数のPayment Channelが存在していることがありますが、クレームはIDが一致するChannelでのみ清算できます。
  • Channelのexpiration(変更可能な有効期限)がある場合は、この期限が早過ぎないことを確認します。受取人はこの期限の前にクレームを清算する必要があります。
  • クレームのamountがChannelのamount以下であることを確認します。クレームのamountの方が大きい場合、支払人がPaymentChannelFundトランザクションを使用してChannelで使用可能なXRPの合計額を増加しない限り、クレームを清算できません。
  • Channelのbalanceが、受取人がすでにChannelから受領していると予測している額と一致していることを確認します。これらの金額が一致しない場合、受取人はChannelのトランザクション履歴を再度確認する必要があります。不一致の原因として以下のものが考えられます。
    • 支払人がPaymentChannelClaimトランザクションを使用してChannelから受取人にXRPを送金したところ、受取人がこれに気付かず、着信トランザクションを記録していなかった。
    • 受取人のレコードに、「処理中」のトランザクションや、最新の検証済みレジャーバージョンにはまだ記録されていないトランザクションが含まれていた。受取人はtxメソッドを使用して個々のトランザクションの状態を調べ、この点を確認できます。
    • account_channelsリクエストに正しいレジャーバージョンが指定されていなかった。(最新の検証済みバージョンを確認するには、"ledger_index":"validated”を使用します)
    • 受取人は以前にXRPを清算したものの、記録し忘れていた。
    • 受取人がXRPの清算を試行し、暫定的な結果を記録したが、トランザクションの最終的な検証済みの結果がこれとは異なり、受取人はこの最終検証済み結果を記録し忘れていた。
    • 受取人が照会したrippledサーバが、ネットワークの他の部分と同期していない状態であったか、または不明なバグが発生した。サーバの状態を確認するには、server_infoメソッドを使用します。(この状況を再現できる場合は、問題を報告してください。)

受取人がPayment Channelの署名と現行状態の両方を確認した後で、XRPをまだ受領していない場合、XRPを清算するトランザクションがChannelの有効期限より前に処理される限り、XRPを確実に清算 できます

6. 受取人が商品またはサービスを提供します。

この時点で受取人は支払がすでに保証されていることを把握しているので、商品またはサービスを支払人に提供できます。

このチュートリアルに関して、受取人は支払人に「商品およびサービス」としてハイタッチまたは同等のオンラインメッセージを送信できます。

7. 必要に応じてステップ3~6を繰り返します。

支払人と受取人はXRP Ledger自体を待つことなく、ステップ3~6(商品およびサービスと交換するクレームの作成、送信、検証)を必要な回数と間隔で繰り返すことができます。この処理に関する2つの主な制限を以下に示します。

  • Payment ChannelのXRPの額。(支払人は必要に応じてPaymentChannelFundトランザクションを送信し、Channelで使用可能なXRPの合計額を増加できます。)

  • Payment Channelの変更可能な有効期限(設定されている場合)。(これはaccount_channelsメソッドに対するレスポンスのcancel_afterフィールドに表示されます。)

8. 準備が完了すれば、受取人は承認された額のクレームを清算します。

この時点で受取人は最終的にChannelからXRPを受領します。

これは、BalanceAmountSignature、およびPublicKeyフィールドが指定されたPaymentChannelClaimトランザクションです。クレームの値は累計額であるため、受取人は最も高額な(最新の)クレームを清算するだけで全額を受領できます。受取人は、承認済みの額全額をクレームで清算する必要はありません。

受取人は必要に応じて、取引継続中にこの手順を繰り返し実行して、一部の額を決済することができます。

ChannelからXRPを清算する例:

リクエスト:

POST http://localhost:5005/
Content-Type: application/json

{
    "method": "submit",
    "params": [{
            "secret": "s████████████████████████████",
            "tx_json": {
                "Account": "rf1BiGeXwwQoi8Z2ueFYTEXSwuJYfV2Jpn",
                "TransactionType": "PaymentChannelClaim",
                "Amount": "1000000",
                "Balance": "1000000",
                "Channel": "5DB01B7FFED6B67E6B0414DED11E051D2EE2B7619CE0EAA6286D67A3A4D5BDB3",
                "PublicKey": "023693F15967AE357D0327974AD46FE3C127113B1110D6044FD41E723689F81CC6",
                "Signature": "304402204EF0AFB78AC23ED1C472E74F4299C0C21F1B21D07EFC0A3838A420F76D783A400220154FB11B6F54320666E4C36CA7F686C16A3A0456800BBC43746F34AF50290064"
            },
            "fee_mult_max": 1000
        }]
}

レスポンス:

200 OK

{
    "result": {
        "engine_result": "tesSUCCESS",
        "engine_result_code": 0,
        "engine_result_message": "The transaction was applied.Only final in a validated ledger.",
        "status": "success",
        "tx_blob": "12000F2280000000240000017450165DB01B7FFED6B67E6B0414DED11E051D2EE2B7619CE0EAA6286D67A3A4D5BDB36140000000000F42406240000000000F424068400000000000000A7121023693F15967AE357D0327974AD46FE3C127113B1110D6044FD41E723689F81CC6732103AB40A0490F9B7ED8DF29D246BF2D6269820A0EE7742ACDD457BEA7C7D0931EDB7447304502210096B933BC24DA77D8C4057B4780B282BA66C668DFE1ACF4EEC063AD6661725797022037C8823669CE91AACA8CC754C9F041359F85B0B32384AEA141EBC3603798A24C7646304402204EF0AFB78AC23ED1C472E74F4299C0C21F1B21D07EFC0A3838A420F76D783A400220154FB11B6F54320666E4C36CA7F686C16A3A0456800BBC43746F34AF5029006481144B4E9C06F24296074F7BC48F92A97916C6DC5EA9",
        "tx_json": {
            "Account": "rf1BiGeXwwQoi8Z2ueFYTEXSwuJYfV2Jpn",
            "Amount": "1000000",
            "Balance": "1000000",
            "Channel": "5DB01B7FFED6B67E6B0414DED11E051D2EE2B7619CE0EAA6286D67A3A4D5BDB3",
            "Fee": "10",
            "Flags": 2147483648,
            "PublicKey": "023693F15967AE357D0327974AD46FE3C127113B1110D6044FD41E723689F81CC6",
            "Sequence": 372,
            "Signature": "304402204EF0AFB78AC23ED1C472E74F4299C0C21F1B21D07EFC0A3838A420F76D783A400220154FB11B6F54320666E4C36CA7F686C16A3A0456800BBC43746F34AF50290064",
            "SigningPubKey": "03AB40A0490F9B7ED8DF29D246BF2D6269820A0EE7742ACDD457BEA7C7D0931EDB",
            "TransactionType": "PaymentChannelClaim",
            "TxnSignature": "304502210096B933BC24DA77D8C4057B4780B282BA66C668DFE1ACF4EEC063AD6661725797022037C8823669CE91AACA8CC754C9F041359F85B0B32384AEA141EBC3603798A24C",
            "hash": "C9FE08FC88CF76C3B06622ADAA47AE99CABB3380E4D195E7751274CFD87910EB"
        }
    }
}

受取人は検証済みレジャーでこのトランザクションが正常に処理されたことを確認します。詳細は、確実なトランザクションの送信をご覧ください。

9. 支払人と受取人の取引完了後、支払人はChannelの閉鎖を要求します。

これは、tfCloseフラグを設定したPaymentChannelClaimトランザクション、またはExpirationフィールドを設定したPaymentChannelFundトランザクションです。フローチャートの9a)

支払人がChannelの閉鎖を要求した時点でChannelにXRPが残っていない場合は、Channelは即時に閉鎖されます。

ChannelにXRPが 残っている 場合は、このChannelの閉鎖要求は、受取人に対し未処理のクレームを速やかに清算することを求める最終警告となります。Channelの閉鎖までに、少なくとも決済遅延期間相当の時間が受取人に残されています。正確な秒数は、レジャーの閉鎖時刻に応じて多少異なります。

また、受取人はクレームの処理完了直後にPayment Channelを閉鎖できます フローチャートの9b)

Channelの閉鎖を要求するトランザクションを送信する例:

{
    "method": "submit",
    "params": [{
        "secret": "s████████████████████████████",
        "tx_json": {
            "Account": "rN7n7otQDd6FczFgLdSqtcsAUxDkw6fzRH",
            "TransactionType": "PaymentChannelClaim",
            "Channel": "5DB01B7FFED6B67E6B0414DED11E051D2EE2B7619CE0EAA6286D67A3A4D5BDB3",
            "Flags": 2147614720
        },
        "fee_mult_max": 1000
    }]
}

トランザクションが検証済みレジャーに記録されたら、いずれの当事者もaccount_channelsメソッドを使用して現在スケジュールされているChannelの有効期限を確認できます。最新の検証済みレジャーバージョンからデータを取得するには、"ledger_index": "validated"を必ず指定してください。

account_channelsレスポンスの例:

{
    "result": {
        "account": "rN7n7otQDd6FczFgLdSqtcsAUxDkw6fzRH",
        "channels": [
            {
                "account": "rN7n7otQDd6FczFgLdSqtcsAUxDkw6fzRH",
                "amount": "100000000",
                "balance": "1000000",
                "channel_id": "5DB01B7FFED6B67E6B0414DED11E051D2EE2B7619CE0EAA6286D67A3A4D5BDB3",
                "destination_account": "rf1BiGeXwwQoi8Z2ueFYTEXSwuJYfV2Jpn",
                "destination_tag": 20170428,
                "expiration": 547073182,
                "public_key": "aB44YfzW24VDEJQ2UuLPV2PvqcPCSoLnL7y5M1EzhdW4LnK5xMS3",
                "public_key_hex": "023693F15967AE357D0327974AD46FE3C127113B1110D6044FD41E723689F81CC6",
                "settle_delay": 86400
            }
        ],
        "status": "success"
    }
}

この例に示されているexpirationの値547073182(Rippleエポック以降の経過秒数) は2017-05-02T20:46:22Zに対応しています。このため、この時刻までに決済されなかったクレームはすべて無効になります。

10. 有効期限切れのChannelは誰でも閉鎖できます。

決済遅延が経過するか、またはChannelが予定されている有効期限に達したら、Channelは有効期限切れになります。それ以降に行われるこのChannelに影響するトランザクションはすべて、Channelを閉鎖するだけであり、未請求のXRPは支払人に返金されます。

Channelは期限切れ状態で永久にレジャーに残ることがあります。これは、レジャーはトランザクションの結果によってのみ変わるので、誰かが 有効期限切れのChannelを閉鎖するトランザクションを送信する必要があるためです。Channelがレジャーに残っている限り、そのChannelは所有者準備金の点から支払人が所有するオブジェクトと見なされます。

このため、支払人にはtfCloseフラグを指定した2番目のPaymentChannelClaimトランザクションを送信することが推奨されます。ただしその他のアカウント(Payment Channelに関与するアカウントを含む)は有効期限切れのChannelを閉鎖できません。

このトランザクションを送信するコマンドは、Channelの有効期限切れをリクエストする前述の例と同じです。(ただしコマンドの実行結果である自動入力 Sequence番号、署名、識別用ハッシュは一意です。)

有効期限切れのChannelを閉鎖するトランザクションを送信する例:

{
    "method": "submit",
    "params": [{
        "secret": "s████████████████████████████",
        "tx_json": {
            "Account": "rN7n7otQDd6FczFgLdSqtcsAUxDkw6fzRH",
            "TransactionType": "PaymentChannelClaim",
            "Channel": "5DB01B7FFED6B67E6B0414DED11E051D2EE2B7619CE0EAA6286D67A3A4D5BDB3",
            "Flags": 2147614720
        },
        "fee_mult_max": 1000
    }]
}

トランザクションが検証済みレジャーに記録されたら、そのトランザクションのメタデータを調べて、Channelが削除され、XRPが送金元に返金されたことを確認できます。

このステップのトランザクションを検索するtxメソッドを使用した場合のレスポンスの例:

{
    "result": {
        "Account": "rN7n7otQDd6FczFgLdSqtcsAUxDkw6fzRH",
        "Channel": "5DB01B7FFED6B67E6B0414DED11E051D2EE2B7619CE0EAA6286D67A3A4D5BDB3",
        "Fee": "5606",
        "Flags": 2147614720,
        "Sequence": 41,
        "SigningPubKey": "023693F15967AE357D0327974AD46FE3C127113B1110D6044FD41E723689F81CC6",
        "TransactionType": "PaymentChannelClaim",
        "TxnSignature": "3044022008922FEB6F7D35D42006685BCBB007103D2A40AFAA69A7CFC10DF529F94BB6A402205D67816F50BBAEE0A2709AA3A93707304EC21133550FD2FF7436AD0C3CA6CE27",
        "date": 547091262,
        "hash": "9C0CAAC3DD1A74461132DA4451F9E53BDF4C93DFDBEFCE1B10021EC569013B33",
        "inLedger": 29480670,
        "ledger_index": 29480670,
        "meta": {
            "AffectedNodes": [
                {
                    "ModifiedNode": {
                        "LedgerEntryType": "AccountRoot",
                        "LedgerIndex": "13F1A95D7AAB7108D5CE7EEAF504B2894B8C674E6D68499076441C4837282BF8",
                        "PreviousTxnID": "C9FE08FC88CF76C3B06622ADAA47AE99CABB3380E4D195E7751274CFD87910EB",
                        "PreviousTxnLgrSeq": 29385089
                    }
                },
                {
                    "DeletedNode": {
                        "FinalFields": {
                            "Account": "rN7n7otQDd6FczFgLdSqtcsAUxDkw6fzRH",
                            "Amount": "100000000",
                            "Balance": "1000000",
                            "Destination": "rf1BiGeXwwQoi8Z2ueFYTEXSwuJYfV2Jpn",
                            "DestinationTag": 20170428,
                            "Expiration": 547073182,
                            "Flags": 0,
                            "OwnerNode": "0000000000000000",
                            "PreviousTxnID": "C5C70B2BCC515165B7F62ACC8126F8F8B655EB6E1D949A49B2358262BDA986B4",
                            "PreviousTxnLgrSeq": 29451256,
                            "PublicKey": "023693F15967AE357D0327974AD46FE3C127113B1110D6044FD41E723689F81CC6",
                            "SettleDelay": 86400
                        },
                        "LedgerEntryType": "PayChannel",
                        "LedgerIndex": "5DB01B7FFED6B67E6B0414DED11E051D2EE2B7619CE0EAA6286D67A3A4D5BDB3"
                    }
                },
                {
                    "ModifiedNode": {
                        "FinalFields": {
                            "Account": "rN7n7otQDd6FczFgLdSqtcsAUxDkw6fzRH",
                            "Balance": "1041862844",
                            "Flags": 0,
                            "OwnerCount": 2,
                            "Sequence": 42
                        },
                        "LedgerEntryType": "AccountRoot",
                        "LedgerIndex": "B1CB040A17F9469BC00376EC8719535655824AD16CB5F539DD5765FEA88FDBE3",
                        "PreviousFields": {
                            "Balance": "942868450",
                            "OwnerCount": 3,
                            "Sequence": 41
                        },
                        "PreviousTxnID": "C5C70B2BCC515165B7F62ACC8126F8F8B655EB6E1D949A49B2358262BDA986B4",
                        "PreviousTxnLgrSeq": 29451256
                    }
                },
                {
                    "ModifiedNode": {
                        "FinalFields": {
                            "Flags": 0,
                            "Owner": "rN7n7otQDd6FczFgLdSqtcsAUxDkw6fzRH",
                            "RootIndex": "E590FC40B4F24D18341569BD3702A2D4E07E7BC04D11CE63608B67979E67030C"
                        },
                        "LedgerEntryType": "DirectoryNode",
                        "LedgerIndex": "E590FC40B4F24D18341569BD3702A2D4E07E7BC04D11CE63608B67979E67030C"
                    }
                }
            ],
            "TransactionIndex": 7,
            "TransactionResult": "tesSUCCESS"
        },
        "status": "success",
        "validated": true
    }
}

トランザクションメタデータで以下のエントリを検索します。

  • "LedgerEntryType": "PayChannel"が指定されたDeletedNodeLedgerIndexフィールドはChannel IDと一致している必要があります。これはChannelが削除されたことを示します。
  • "LedgerEntryType": "AccountRoot"が指定されたModifiedNodePreviousFieldsFinalFieldsBalanceフィールドの変化は、支払人に返金される未使用のXRPを反映しています。

これらのフィールドは、Payment Channelが閉鎖したことを示しています。

結論

これでPayment Channelの使用法のチュートリアルを終了します。ユーザが、Payment Channelのスピードと利便性を最大限に活用できる独特で興味深い用途を考えることが推奨されます。